娘を見る目が変わった話

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半年ほどバタバタ忙しかったプロジェクトが一段落して、気がついたら秋になっていた。
1歳2ヶ月になる娘の秋冬服がないというので、吉祥寺のデパートに行った時の話。


妻が買い物をしている間、娘と二人でデパートの屋上で遊んでいた。
もう自由に歩き回り、自分で勝手に楽しそうなものを見つけては突っ込んでいくので、危ないことには注意しつつ目の届く範囲で放し飼いにしていた。


周りには3歳くらいの男の子ともう少し小さい女の子も遊んでいた。
ちょっと寒いけど、和やかな休みの午後といった風情。


しばらくすると、娘はその子たちが気になりだしテクテク近寄っていった。
そして、宇宙語でなにか話しかけていると思ったら、急に男の子に突き飛ばされて娘は尻もちをついた。
泣くかなーと思ったけど泣かない。
男の子の母親が走ってきて、「ごめんなさい」と謝られた。
男の子は「oo君もちゃんとごめんなさいしなさい」と言われ、娘に向かって「ごめんなさい」と謝った。
すると、娘はにっこり笑ってペコリとお辞儀をした。
娘はまだ、言葉をしゃべることができない。
最近になって、ごく簡単なコミュニケーションっぽいことが少しだけできるようになってきたのに、親以外の人に対してこういう反応をするとは思っていなかったのでとてもびっくりした。


娘はただ何もわからず遊んでいただけなのかもしれないけど、傍から見ていた自分にはとても大人な対応に見えて、誇らしい気持ちになってしまった。
と同時に、その瞬間から今まであまり感じられなかった個性、人間らしさ、みたいなものを急に強く感じるようになった。
これがうまく表現できないのだけど、自分の中で確実に娘を見る目が変わった。