Trangramやっていた頃のことを振り返り

電球をインターネットに接続したSparkプロジェクト – 一体何ができるのか? - Tech Crunch
http://jp.techcrunch.com/archives/20121116kickstarter-spark-connects-your-lightbulbs-to-the-internets/

自分は2009年の未踏IT人材育成事業でTrangramというシステムを作りました。
http://www.trangram.cc/
Sparkプロジェクトの記事を見ながら、最近Trangramやっていた頃のことを振り返る機会が多くなってきたなーと思ったので、なんとなく書きだしてみます。

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未踏が終わったあと、Trangramをもっと完成度の高いものにし、世の中の多くの人に使ってもらいたいと思いました。
そのために、会社を作り、資金を集め、開発を継続したいと思いました。
ただ、それを実現するということは想像以上に困難な道であり、結局は断念してしまいました。


自分はものを作るのは得意だったのですが、それ以外をどうやれば良いのかわかりませんでした。


誰の問題を解決するものなのか、どんな人に何の為に使ってもらいたいのか、が明確ではありませんでした。
システム自体は非常に面白く、誰に話しても可能性があるとは言われるのですが、じゃあそれで何をするのかと聞くとあまり面白いアイディアは出てきませんでした。
実際自分も思いつきませんでした。
多分、無理やりこじつければどのようにでもできたと思います。
世の中にはこじつけてそれっぽく振る舞うことがすごく上手い人はいますが、自分にはできませんでした。


面白い、凄いものを作れば道はひらけると思っていたのですがそうではありませんでした。
VCのスタートアップコンテスト的なものに出して賞をもらったこともありました。
でも、それだけではどこからも資金を調達することはできませんでした(今考えれば当たり前です)。
どのように事業にするか、どうやってお金を儲けるか、最低でもそこら辺を盛り込んだ説得力のあるストーリーが描けていなければダメでした。
実際にそれで一円でもいいから稼いでみろとも言われました。
当時の自分は、どうやればいいかわからずに時間だけが過ぎて行きました。


面白いものを作り、色々な所で人に見せ、事業にしたいとか言っていると色々なことが起こりました。
まず、多くのVCが会いたいといってきました。
お金くれるのかなーとか思っていたら全然そんなことはなく、各々異なる話を持ちかけられたり提案をされました。
何度もミーティングを重ねました。
VCだけではなく、一緒に事業にしましょうという人も現れました。
Trangramには大きな可能性がある、と熱弁されました。
何度もミーティングを重ねました。
時間ばかりが消費され、段々誰の話を信じたらいいか分からなくなり、急速に熱が冷めていきました。


色々な会社から社員として働かないかとオファーをいただきました。
これから事業を起こしたいと言っている人は、本来そんな話に耳を貸すわけないのですが、自分はそれに翻弄されてしまいました。


そんなことをしていると、生活費が尽きてきます。
人間、お金が無くなると心に余裕がなくなり、判断力もなくなってきます。
何回か単発の仕事を受けて少しだけ延命しましたが、段々自分が何をやりたいのか分からなくなって行きました。

細かいことを挙げだすともっと色々なことがありましたが、そんなこんなで一旦Trangramの活動を止め、一度落ち着こうと今の会社に就職しました。
11月16日で就職してまる二年になります。

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事業を起こす人は、これらのことを解決するためにありとあらゆる手段を実行できる強い動機が必要なのだと思います。
また、その動機を継続させ続けることも重要であり、難しいところでもあると思います。
その壁を乗り越えて、事業を継続させ成功させている人は本当にすごいと思います。
気合と根性で乗り切れる人もいるみたいですが、そもそも自分はそういう人間ではないことに気が付きました。
多分、正解なんてものは無いのだと思うのですが、自分の場合はどうすれば良かったのか、これからどうすればいいのかが、最近になってやっと見えてきた気がします。


Sparkプロジェクトは上手くいくといいですね。